労基署(労働基準監督署)の調査が入る場合・入らない場合

調査が入る場合・入らない場合

そのように考える経営者の方々は多いようです。

労基署の調査が入る場合とは、どのような場合でしょうか。

労基署の調査=臨検とは

「臨検」とは、労基監督官が、その職務執行のため、労基法等の違反の有無を調査する目的で事業場等に立ち入ることを言います。

臨検は、その端緒に応じて、①定期監督、②申告監督、③災害調査、災害時監督、④再監督の4種類があります。

定期監督

定期監督は、労基署が定めた年度業務計画の方針に基づき、その年度の行政課題に見合った事業場を選び、労基監督官が定期的に臨検監督をすることを言います。

臨検のなかで最も多いのが、この定期監督です。

労基署は、その年度の業務計画をもとに、定期監督の対象となる事業場を選びます。

したがって、業務計画に違反していそうな事業場は、定期監督の対象となる可能性が高いといえます。

近年、業務計画において重点的に取り上げられている項目としては、

  • 過重労働の防止
  • 有期労働契約に関するルールの徹底
  • 賃金不払い
  • 割増賃金不払残業

などが挙げられます。

したがって、これらに違反していそうな事業場、たとえば労基署に提出した時間外・休日労働協定で1ヶ月間の時間外労働の限度時間を80時間以上としている事業場や、法令で提出が義務付けられている就業規則等が未提出である事業場は臨検の対象となる可能性が高いでしょう。

申告監督

申告監督は、労働者やその他の者からの労働基準関係法令違反の疑いがある事業場への調査の申告を受け、これに基づいて実施される臨検をいいます。

定期監督の次に多いのが、この申告監督です。

申告は匿名でも受け付け可能で、たとえば家族や友人からの申告も受理されます。

申告労働者が在職している場合は、申告労働者が不利益とならないよう、労基署が定期監督を装って臨検監督を行うなどの工夫をします。

労基署は、申告事案については優先的に処理する運用となっているようです。

したがって、長時間労働や残業代不払いなどで労働者とトラブルの生じている事業場は、労働者やその他第三者の申告によって臨検の対象となる可能性が高いといえます。

災害調査、災害時監督

事業場や作業現場で重大な労働災害(労働者が死亡あるいは重傷を負った、労働者が働く現場で火災・爆発等が起こったなど)が発生した場合に労基署が行う調査を「災害調査」といいます。

一方、これに該当しない労働災害(施設設備の事故による労働者の被災など)が発生した場合に行われる調査を、「災害時監督」といいます。

災害調査は、事業場からの通報や、消防署・警察署からの通報によって労基署の知るところとなります。

そして、労基署が災害発生を知れば、ただちに災害調査が行われることになります。

労基署の調査に入られないように

このように、労基署の調査は、法違反がある場合や法違反の疑いがある場合に入ることが多いといえます。

つまりは、労務管理を適切に行うことは労基署の調査を遠ざけることにもつながるのです。

安心して企業活動に専念するために、御社の状況について問題がないか、労務に強い弁護士に相談しておくことをおすすめします。

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
開所以来、姫路エリアに密着。使用者側労働問題に注力。経営法曹会議会員。

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