産業医とは特定の企業に属して労働者の健康のために働く医師のことですが,彼らが会社にとってどのような役割を果たしているのかよく知らない人も多いのではないでしょうか。その結果,いざ選任しなくてはならなくなった場合,安易に選んで失敗するケースがあります。

事業者の選任義務とは

事業者は常時50人以上の労働者を使用している場合,産業医を選任する義務があります。ただし,労働者が1000人未満であれば特別な場合を除いて専属としておく必要はありません。嘱託扱いで週に1回,あるいは月に1回という具合に一定の割合で事業所に出向いて労働者の健康管理や健康相談を行えばよいのです。

それに対し,労働者が1000人以上になると専属医をおかなくてはならなくなります。さらに,労働者が3000人を超えると専属医を二人以上選任する必要があります。しかも,これらの選任はその義務が生じてから14日以内に行わなければなりません。

もし,選任を行わなかった場合は50万円以下の罰金となり,しかも悪質と判断されると書類送検される可能性もあります。そうなると,社会的に大きなダメージを負うことになってしまいます。

安易な理由で選任するのは失敗のもと

「評判がよい臨床医だから」という理由で選任を行う場合があります。しかし,優秀な臨床医だからといって優秀な産業医だとは限りません。前者は患者を診察して治療を行うのが主な仕事ですが,後者は予防と対応をするのが仕事だからです。

その他にも,「知り合いに経験者がいるからとりあえず声をかけてみよう」,「安く雇えるからこの人でいいかな」といった流れで選任するのもよくある話です。しかし,このような安易な選任を行っていると,結局なんの成果も得られなかったということになりかねません。

会社が求めるものを明確にしてから選任するのが賢明

選任を行う前に,まず会社として何を求めるかを明確にする必要があります。彼らにも専門があり,肉体的な不調に対する予防が得意な医師もいれば,ストレスなどの精神的なケアが得意な医師もいます。

そこで,企業としては労働者がどのような問題を抱えているのかを把握することが大切です。そうして,会社として求める人材を具体化したうえで,人材紹介会社などに相談するのがよいでしょう。人材紹介会社のようなサービスを利用すると費用はかかりますが,人づてに紹介してもらうなどするよりも選べる人材が豊富なため,理想に近い医師と巡り合える可能性が高くなります。彼らはただ,法律で定められているから選任するというだけの存在ではなく,想像以上に重要な役割を担っています。

例えば,問題になっていた現場のストレスを軽減できれば生産性を高めることにもつながりますし,労働者の体の不調に気づいて業務中の事故を未然に防ぐこともできます。会社によい影響をもたらすためにも,その活用法をよく考えたうえでニーズに合った選任をすることが大切です。

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