労働契約の締結により,使用者は労働者に対し,安全配慮義務を負います。

安全配慮義務とは,使用者が労働者の生命や健康を危険から保護するよう配慮すべき義務をいい,労働契約法5条にも明示されています。

では,企業が負うべき安全配慮義務とは具体的にどのような内容なのでしょうか。

また,企業はどのような点に注意する必要があるのでしょうか。

安全配慮義務の具体的な内容

最高裁は,安全配慮義務の具体的内容を,概要,使用者が業務遂行に用いる物的施設(設備)および人的組織の管理を十全に行う義務と把握しています。

例えば,長時間労働に従事する労働者がうつ病に罹患して自殺した事案においては,「使用者は,その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し,業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないように注意する義務を負うと解するのが相当」としています(平成12年3月24日,電通事件)。

また,過重労働により労働者がうつ病に罹患して休職し,休職期間満了後に解雇された事案については,「使用者は,必ずしも労働者からの申告がなくても,その健康に関わる労働環境等に十分な注意を払うべき安全義務を負っている」「労働者にとって過重な業務が続く中でその体調の変化が看取される場合には,上記のような情報については労働者本人からの積極的な申告が期待し難いことを前提とした上で,必要に応じてその業務を軽減するなどの労働者の心身の健康への配慮に努める必要がある」としています(平成26年3月24日,東芝事件)。

このように,企業の負う安全配慮義務の具体的内容は多岐にわたります。

安全配慮義務に違反した場合

企業が安全配慮義務に違反すると,場合によっては高額な賠償金を支払わなければならない事態となります。

例えば,上記電通事件では,差戻控訴審において,企業側が賠償金として1億6800万円(遅延損害金も含む)を支払うという内容で和解が成立しています。

また,上記東芝事件では,差戻控訴審において,慰謝料や休業損害など併せて約6000万円の支払が命じられています。

このように,安全配慮義務に違反した場合に企業が負う責任は重大です。

トラブルが起きる前に弁護士に相談を

上記の通り,安全配慮義務を尽くしたというためには,労働者が業務遂行に用いる物的施設(設備)や人的組織の管理を十全に行う必要があります。

したがって,就業規則の制定・運用など日々の労務管理が非常に重要となります。

トラブルが起きる前に,現状問題点がないかどうかについて,労務に強い弁護士に相談しておくと安心です。

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