コンプライアンスが注目されるようになり、パワハラ防止にも力が注がれるようになっています。

経営者ならば、どういった行為がパワハラにあたるのか、パワハラ防止のためにどういったことができるのかについてしっかりと学んでおきたいところです。

最低限覚えておこう!パワハラ6類型

パワハラに気を付けようという意識を抱いていても、実際のコミュニケーションにおいて何がパワハラにあたるのかの判断に迷うことは少なくありません。

厚生労働省によると、パワハラ6類型とは身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害です。

ただし、これ以外の行為態様であっても、職場での優位性を利用し業務の適正な範囲を超えて苦痛を与えるとパワハラに該当することがあります。

身体的・精神的な攻撃は他のケースと比べるとどういったものかイメージしやすいでしょう。

これに対して、最もイメージしにくいであろう個の侵害とは、たとえば交際相手に対する執拗な質問やロッカーの中身の監視など私生活に過剰に干渉すること(個人のプライバシーに対する侵害)をいいます。緊急事態が起きたときのために休暇中の居場所を把握しておこうと尋ねても、無理に聞き出した場合にはパワハラに該当してしまう可能性があります。

正しい指導内容であってもパワハラにあたる!?

実際にあった事例をみて、どのような点に注意すべきなのかをみてみましょう。

ここでご紹介するのは市役所の職員であったAが上司のパワハラによってうつ病となり、自殺してしまった事例で、Aの妻が地方公務員災害補償法に基づく公務外認定処分の取消しを求めた事例です(名古屋高裁平22.5.21判決)。

この事例は、精神的な攻撃にあたるもので、上司が朝礼などの際に大声で「ばかもの」「おまえらは給料が多すぎる」などと高圧的に怒鳴っており、実際に女性社員が涙を流したこともありました。

この事例では上司が仕事以外で部下を人格的に非難しなかったこと、指導内容の多くが正しかったことが認定されましたが、パワハラであることに変わりはないとされています。

加えて、この事例では精神的な攻撃(叱責)が自分自身に対するものでなく、自分の部下に対するものであってもパワハラにあたると言及されています。

つまり、正しい指導だからといって許されるわけではなく、高圧的な態度による指導はそれ自体でパワハラにあたるので、部下を注意するときには態度にも気を付けなければなりません。

実態を把握することがパワハラ防止には大切!

名古屋高裁平22.5.21判決の事例では、Aが亡くなる前、このままでは自殺者が出ると市役所内でも危惧されていました。

しかし、その上司が有能であったことから具体的な対策は施されませんでした。

その対応に問題があったことは当然ですが、必ずしもパワハラの実態を経営者が把握できるとは限りません。

そこで、定期的に匿名でのアンケートを実施して企業内でパワハラがないかを確認し、可能であれば安全管理者や産業医によるヒアリングの機会を設けましょう。

そして、パワハラの実態が掴めたならば、弁護士やカウンセラーと連携して事案の解決に努めてください。

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