知って得する!効果的な労基署対策【経営者向け】

効果的な労基署対策

前回は、「運送業界は要注意!労基署が監督指導に入ると8割以上が違反。送検も!」と題して、具体的な送検事例をご紹介しました。

今回は、労基署調査の実態と、それを踏まえた効果的な労基署対策をお伝えします。

労基署調査とその実態

皆さん「労基署調査」と呼んでいますが、

正式には、「労働基準監督官」が行う「臨検監督」といいます。

まず、労働基準監督官とは、要は厚生労働省の専門職員で、職場に立ち入り、労働条件の確保・向上、安全・健康の確保、労災補償の業務を行います。

そして、臨検監督とは、平たく言えば事業場への立入調査のことで、労働基準監督官が労働条件や機械・設備・職場環境の調査・確認・指導を行うものです。

立入調査というと何か怖いイメージがありますが、労働基準監督官は、労働関係なら何でもできるのではなく、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などについて指導権限が与えられています。

では、臨検監督は、どのような場合に行われるのでしょうか?

皆さん、労働者からの通報をきっかけとして行われると思っているようですが、実は、そうしたケースは限られており、労基署が計画的に行う定期監督が一番多いのです。

では、定期監督を行う事業場はどのように決められるのでしょうか?

それは、年間計画に重点対象があり、これに地域性を考慮して毎月選定されているのです。

例えば、最近過重労働による過労死が目立つので、過重労働になりやすい業界を選ぼう、という具合です。

そして、前回のメールマガジンでもお伝えしていますが、トラック、バスといった運送業界は、現在最も選ばれやすい業界といえます。

・・そう考えると、運送業界の経営者の皆様、いつ臨検監督が入っても大丈夫なように準備しておきたいですね。

 

さて、臨検監督では何を求められるかというと、書類の提出が求められます。

具体的には、労働者名簿、賃金台帳、就業規則、労働条件通知書、雇用契約書、三六協定書、健康診断個人票などです。

また、労働時間をどのように把握しているか、といった聞き取りも行われます。

こうした調査の結果、労働基準法等に違反する事実が判明した場合は、まず、是正勧告書を交付されます。

是正勧告書は、あくまで勧告なので、強制力はないのですが、もしこれに従わないと、いよいよ送検され、刑事事件化されますので、注意が必要です。

では、指摘される違反の内容には、どのようなものがあるでしょうか?

統計的には、多い順に、①労働時間、②割増賃金、③労働条件明示、④就業規則、⑤賃金台帳などとなっています。

やはり長時間労働や割増賃金の不払いは多いようですね。

効果的な労基署対策

では、こうした臨検監督に対し、経営者の皆さんはどのような対策をすればいいのでしょうか?

答えは簡単であり、こうした臨検監督がなされても、違反を指摘されないようにしておけばいいのです。

具体的には、多い違反が労働時間や割増賃金となっていますので、

①個々の労働者の労働時間をきちんと把握する

②できるかぎり長時間労働をさせない

③賃金や割増賃金をきちんと支払う

といったことをしっかり行うことです。

とくに、労働時間の把握(①)は、労務管理の基本ですし、平成29年1月にガイドラインが策定され、平成30年には労働安全衛生法施行規則の改正により、罰則付きの義務となることから、要注意といえます。

ただ、実際には、

①→タイムカードなどで労働時間をきちんと把握していない・・

②→つい月80時間を超えて働かせてしまっている・・

③→残業代をきちんと支払っていないとか、定額である・・

といった労務管理が散見されます。

やはり、きちんとした労務管理は難しいようです。

労務問題は、今やどの企業に起こってもおかしくないですし、いったん起こると企業に多大なダメージを与えます。

そこで、この機会に、労基署対策を含め、労務問題への備えをしっかり行うことをお勧めします。

この点、当事務所では、現在企業のお客様の相談は無料です。

ご相談だけでもお気軽にお越しいただければと思います。

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
開所以来、姫路エリアに密着。使用者側労働問題に注力。経営法曹会議会員。

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