無期転換への備えは大丈夫ですか?【経営者向け】

 

経営者の皆さん,突然ですが,無期転換制度への備えはできていますか?

「無期転換」て何や?という方

・・要注意です。

「無期転換」は聞いたことがあるけど,有期が無期になるだけやろ?

・・そんな簡単な話ではありません。

 

今回は,本業で手いっぱいの経営者の皆さんが手薄な無期転換制度についてご説明します。

 

無期転換制度とは,有期労働契約が,労働者の無期転換権の行使により,他の労働条件はそのままに,期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換する制度です。

平成25年4月に施行された改正労働契約法により認められました。

 

平たく言えば,「1年」などと期間を決めて雇ったはずの従業員が,

従業員の一存で,無期限の従業員になってしまうというものです。

しかも,フルタイムはもちろん,パートさんにも適用されてしまいます。

 

「パートさんの増減で人手を調節してきたのに,それは困る!」という声が聞こえてきそうです。

そして,いったん無期労働契約に転換してしまうと,

たとえ問題社員でも,従業員を解雇することがとても困難になります。

ところが,1年契約で更新してきた従業員は,平成30年4月にも無期転換権が発生してしまいます。

 

「え,もうすぐやないか!何かせんで大丈夫やろうな・・」と不安に思う方もいるでしょう。

さらに,2年契約や3年契約で更新してきた場合,

もうすでに無期転換権が発生しているかもしれません・・

 

でも大丈夫。早急に以下の対策を講じましょう。

 

(1)無期転換権がいつ発生するか把握する

まず,御社の場合,一番早い従業員で,無期転換権がいつ発生するのか確認しましょう。

無期転換権は,通算契約期間が5年を超える場合に発生します。

そして,無期転換制度の施行日である平成25年4月1日より前の日が初日である有期労働契約の契約期間は通算契約期間に参入されません。

以上を前提に,3つのケースを考えてみましょう。
(なお,空白期間などの例外的なケースについては,紙幅の都合で省略します。)

 

(ア)無期転換権が平成30年4月1日に発生するケース

典型的には,たとえば,平成25年4月1日以降,1年ずつ更新されてきた有期労働契約の場合は,平成30年4月1日に契約が更新された時点で無期転換権が発生します。

 

(イ)無期転換権が遅く発生するケース

ただ,同じ1年契約でも,契約の初日によっては,無期転換権の発生が遅くなります。

たとえば,平成25年1月1日以降,1年ずつ更新されてきた有期労働契約の場合は,平成26年1月1日から通算契約期間をカウントしますので,平成31年1月1日に契約が更新された時点で無期転換権が発生します。

 

(ウ)無期転換権が早く発生するケース

ところが,契約の初日は4月1日でも,2年契約や3年契約の場合は,逆に,無期転換権の発生が早まります。

たとえば,平成25年4月1日以降,2年ずつ更新されてきた有期労働契約の場合は,平成29年4月1日に契約が更新された時点で,通算契約期間が6年となり,5年を超えますので,無期転換権が発生します。

つまり,もう現時点で無期転換権が発生しているのです!

 

ここまで読んでいただければ,御社の場合,一番早い従業員で,いつ無期転換権が発生するかわかりましたね。

そして,まだ無期転換権が発生した従業員がいない場合は,対策の時間があるものの,そろそろ準備した方がよいでしょう。

他方,すでに無期転換権が発生した従業員がいる場合は,無期転換権を行使される前に,一刻も早く就業規則の整備をしましょう。

 

(2)就業規則を変更する

無期転換制度が認められたからといって,通常の場合,就業規則を変更する法律上の義務はありません。

しかし,就業規則を変更しないまま,従業員に無期転換権を行使されると,思わぬ労働条件が適用されてしまい,労働トラブルのもとになる場合があります。

そこで,無期転換権を行使される前に,ぜひ就業規則を変更しておきましょう。

 

就業規則を変更すべき点は,主に,以下のとおりです。

 

・無期転換社員にも定年の規定をもうける

・無期転換社員に正社員同様の責任を求めるのであれば,配転命令の規定をもうける

・無期転換社員が正社員同様の好待遇にならないようにするのであれば,正社員に関する規定の適用除外を明記する

 

いかがですか?
無期転換権行使に備え,就業規則を変更しておく必要があることがお判りいただけたでしょうか?

 

ただ,会社により就業規則の現状はさまざまですので,就業規則の具体的な修正点もさまざまです。

そこで,きちんと就業規則を変更するのであれば,その機会に,予想される労務トラブルに備え,労務に強い弁護士に就業規則全般の見直しをしてもらうことをお勧めします。