20世紀以降女性の社会進出が進み、また正規社員だけでなくパートやアルバイトなどの非正規社員の存在感が増すようになり、企業の中ではさまざまな働き方が容認されるようになってきました。
さらにグローバル化の波が押し寄せる中で外国人労働者の存在感も増しつつあり、「ダイバーシティ(多様性)」が広がっています。
その中で企業は多様化した社員やその働き方に対して対応することが求められています。
ダイバーシティ・マネジメントとは?
ダイバーシティ(多様性)とは、すなわち性別や人種、年齢、障がいの有無、宗教や文化、考え方や価値観の“違い”を指します。
社員それぞれが持つ“違い”を認め、「こうあるべきだ」といった決めつけを排除し、各々の持つ能力や個性を最大限発揮できるような配慮をすることをダイバーシティ・マネジメントといいます。
世界的に見れば1960年代にアメリカで起きた公民権運動にはじまり、70年代のウーマンリブ運動など、20世紀後半からその潮流が生まれました。
日本においても1972年には男女雇用機会均等法が成立し、ダイバーシティについて徐々に考えられるようになったのです。
具体的には性別や年齢にとらわれずに労働者を積極的に採用する、ライフワークバランスを1年単位で見直す機会を作る、あるいは働く場所をオフィスに限定しない、などといった取り組みがなされています。
ダイバーシティを受け入れることの意味
多様性を認めるということはすなわち、「従業員はこうあるべき」といった凝り固まった考え方を捨てるということです。
そうなると、これまでは採用の対象とならなかった人々に対しても雇用の門戸が開くことになります。
新たな人材の確保につながるだけでなく、これまでにない価値観が企業の中に生まれ、新たな商品やサービスの開発につながることもあるのです。
情報化社会、そしてグローバル化社会といわれる昨今では、消費者の意識やニーズはころころと変わります。
大量生産・大量消費はすでに過去のモデルとなっており、多様化する消費者の価値観に対していかに対応していくかが企業が生き残るポイントになっています。
そのためには、企業の中にも多様性を生み出していくことが重要と言えるでしょう。
しかし一方で多様な人材活用には課題もあります。
企業内にさまざまな考え方があるということは、組織としてのまとまりが取れなくなるリスクもあるのです。
従業員同士で摩擦が生じたり、上司と部下の折り合いが悪くなったり、チームのパフォーマンスの質を低下させてしまう事態もありえなくもないのです。
そうならないためにも、いかにして多様性を尊重し、それを生かしていくのか、すなわちダイバーシティ・マネジメントを考えることは大切です。
成功させるためのポイントとは
これまでにない価値観を定着させることは一朝一夕でできることではありません。
ソフト面、ハード面の両方を整え、受け入れる体制を作っていかなければなりません。
特に重要になるのが組織内でのコミュニケーションです。
それぞれ異なる価値観を持っている人を受け入れるのですから、当然考え方の違いが生まれることはあるでしょう。
その際、少数派の意見を排除したり、衝突が起きたりといったトラブルが起こらないよう、各々が自由に意見を言える雰囲気や仕組みを作っておくことが重要です。
違いを違いとして受け入れ、それぞれを尊重することができれば、そのなかから新たな価値観が生まれることもあるのではないでしょうか。
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