適切な受動喫煙対策をとることは、従業員が働きやすい環境を作る上でも大切なことです。
企業の取り組みに対して、国や自治体が支援策を設けていたりするのでうまく活用してみましょう。
たばこを吸う人、吸わない人の両方が納得のできる職場作りが大切です。
職場での「受動喫煙防止対策」が努力義務になった
2015年6月1日から企業での受動喫煙防止対策が努力義務となりました。
努力義務であるため罰則はありませんが、防止対策に取り組む企業には助成金などの支援策を国が用意しています。
そもそも受動喫煙とは「室内と室内に準じる環境において、他人のたばこの煙を吸わされる」ことを指します。
従業員の健康を保持し、増進する目的から事業者は適切な措置をとることが求められています。
これは労働安全衛生法第68条の2において定められています。
法律の対象となる事業者は資本金や常時雇用する労働者の数にかかわらず、すべての事業者が対象となっています。
事業者は受動喫煙の現状を把握し、分析することで受動喫煙防止対策をとっていきます。
厚生労働省が行っている支援事業
受動喫煙防止対策は国も助成金などを交付する形で支援をしています。
「受動喫煙防止対策助成金」と呼ばれるものは屋外喫煙所や喫煙室などの設置に対する費用の助成が行われます。
すべての業種の中小企業事業主が対象で費用の1/2(最大で200万円)まで助成されます。
都道府県労働局の健康安全課などに申請手続きを行います。
またすべての事業者を対象として、受動喫煙防止のための技術的な相談を電話で受けられたり、受動喫煙の周知・啓発のために講師を派遣してもらえたりもします。
空気環境の測定機器(粉じん計、風速計、一酸化炭素計)の貸出しを無料で申し込むことも可能です。
受動喫煙対策の具体的な進め方
受動喫煙防止対策はまずは現状を把握するところから始めます。
特に妊娠している従業員や呼吸器・循環器疾患のある人、未成年者は受動喫煙の影響を受けやすいため、特別の配慮が必要です。
職場の空気環境をチェックし、施設の状況などを把握します。
また労働者や顧客の喫煙状況を把握しておくことも必要でしょう。
具体的な受動喫煙防止対策のためには施設などを改善するハード面と教育などを行っていくソフト面での対策が欠かせません。
施設面では敷地内全面禁煙・屋内全面禁煙(屋外喫煙所)・空間分煙(喫煙室)などの対策があげられます。
教育などのソフト面は担当部署の設置や推進計画の策定、定期的に従業員に対して指導を行うなどの措置がとられます。
大切な点は施設などを設置してそのままの状態にしないということです。
きちんと守られているのかを定期的にチェックしていく必要があります。
喫煙室などの喫煙が可能な場所を設置している場合には、空気環境の測定を行ってみましょう。
測定器などは申請すれば無料で国から貸し出してもらうことができるので、こまめなチェックを行ってみましょう。
たばこを吸うか吸わないかにかかわらず、全従業員の健康に対して意識を高めることは経営環境を改善することにもつながります。
自社だけで対応が困難と感じる時には専門家の意見なども交えながら、自社に状況に合った受動喫煙防止対策をとっていくことが大切になるのです。
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