労基署調査の実態――こんなに大変!

労基署調査の実態

労基署から突然通知書が届いた。

事前予告なしに労基署が調査にやってきた。

突然このような事態に陥ったとき、対応に困ってしまう企業は多いのではないでしょうか。

しかし、企業活動を行う上で、労基署調査を受ける可能性は常に存在しているため、企業としてはこれを踏まえてきちんと準備をしておく必要があります。

「知らなかった」では済まされないのです。

では、労基署調査の実態とは、一体どのようなものなのでしょうか。

労基署調査(臨検)の流れ

1 事業場への訪問

臨検を行うにあたり、あらかじめ対象事業場に通知すると、帳簿などを改ざんしたり、口裏を合わせたりして証拠を隠すおそれがあることから、臨検は原則として事前予告なしに行われています。

企業が臨検を拒んだり、妨げたりした場合、30万円以下の罰金に処されるおそれがあります(労基法120条4号)。

したがって、突然の訪問に対し、多忙を理由に断ることはできません。

2 事業場への立入調査

(1)事業主、管理監督者、労働者からの事情聴取

(2)帳簿など労働関係書類の確認
詳しくは、後述します。

3 文書指導(是正勧告・改善指導・使用停止命令等)

立入調査の結果、法違反が認められた場合、「是正勧告書」が交付されます。

また、法違反とまではいかないが改善すべき事項がある場合には、「指導票」が交付されます。

建設業、製造業その他の業種で労働災害が発生する危険があると認められる機械設備・作業方法が見つかった場合には、事業主に対して「使用停止命令書」「作業停止命令書」が交付されます。

4 事業場からの是正・改善報告

「是正勧告書」や「指導票」が交付された場合、事業主はすみやかに指摘事項を改善し、期日までに労基署に対し「是正報告書」を提出します。

 

5 再監督の実施

期日までに是正報告書が提出されない場合や、是正報告書どおりに是正がされているか否かを現場で確認する必要がある場合には、労基監督官が再監督を行います。

6 送検

重大あるいは悪質な法違反があった場合、管理監督者や経営者などの実行行為者は、地方検察庁に送致(送検)されます。

さらに両罰規定により、処罰の対象となる事業場の法人や個人経営者も一緒に送検されます。

結果、管理監督者が有罪になると、ほとんどの場合、その法人ないし個人経営者も有罪(罰金刑)になります。

労働関係書類の確認

臨検で企業が最も苦労するのが、労基監督官による労働関係書類の確認です。

労基監督官が確認する書類は、就業規則、労働者名簿、賃金台帳、労働条件通知書や労働契約書、タイムカードや出勤簿、年次有給休暇の管理簿などです。

労基監督官の点検事項として、就業規則については、

  • 就業規則を作成してあるか(従業員10人以上の事業場の場合)
  • 就業規則を労基署に届け出ているか。
  • 就業規則の内容を労働者に周知しているか。
  • 就業規則の規定内容に法令違反がないか。

のような事項となります。

突然の臨検に右往左往しないように、これら書類は普段から不備のないようきちんと管理しておくことが大切です。

また、各書類の内容に関しては、念のため弁護士に相談し臨検に耐えうるものか否か確認しておくことをおすすめします。

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
開所以来、姫路エリアに密着。使用者側労働問題に注力。経営法曹会議会員。

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