業務処理請負という形で、労務提供を受ける企業は多く、特に建設業などでは多くみられます。

一方で、形式上は業務処理請負であっても、実態は労働者派遣であるケースが存在し、「偽装請負」として問題になっています。

偽装請負が発覚すると、労働者派遣上の罰則が適用され、場合によっては懲役や罰金刑となることがあり、企業としては大きなダメージになります。

では、労働者派遣と業務処理請負は、どのような点で異なるのでしょうか。

労働者派遣と業務処理請負の違い

労働者派遣とは、自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させるものを言います。

労働者派遣は、派遣元による強制労働や中間搾取の危険が存在することから、法は労働者派遣法において各種規制を定めています。

一方、業務処理請負とは、ある企業(請負企業)が他企業(発注企業)に対してその一定業務の処理を請け負い、この請負業務を遂行するために自己の雇用する労働者を発注企業の事業場において自己の指揮命令下に労働させることを言います。

このように、労働者派遣と業務処理請負は、労働者への指揮命令(労務管理)を誰がしているかという点で区別されます。

偽装請負とは

ところが、両者の区別があいまいとなり、形式的には業務処理請負であるにもかかわらず、労働の実態は労働者派遣であるケースが散見されます。

このようなケースは、「偽装請負」と呼ばれ、労働者派遣法を潜脱するものとして厳しく非難され、処罰されます。

偽装請負にあたるケースとは、例えば次のような場合です。

(以下、労働者をX派遣する事業主をA、役務の提供を受ける事業主をBとします。)

・AがBから業務処理を請け負い、労働者XをBの事業場に派遣している状況で、指揮命令をBが行う場合。

・Aが形式的に労働者Xに対する指揮命令の責任者を置いているが、実質的にはBが指揮命令を行う場合。

・AがBから業務処理を請け負い、その遂行を個人事業主である労働者Xに下請けさせて、XがBの事業場でBの指揮命令を受けて業務処理に従事する場合。

偽装請負に対する罰則

偽装請負が労働者派遣に該当する場合、労働者派遣法が定める要件や規制を充足していないため、違法であるものとして処罰の対象となる可能性があります。

たとえば、偽装請負により労働者を派遣している事業主は、派遣禁止業務への労働者派遣(同4条1項)、派遣事業の許可なしの労働者派遣(同5条1項参照)などにあたれば、それぞれの罰則(同59条1号・2号)により処罰される可能性があります。

また、偽装請負により労働者派遣の役務の提供を受ける事業主は、労働者派遣事業主としての許可のない業者から労働者派遣を受けているものとして、その禁止規定(同24条の2)に違反することとなり、行政指導(同48条1項)、改善命令(同49条)、勧告(49条の2第1項)、企業名の公表(同49条の2)がなされる可能性があります。

このように、偽装請負は、労働者を派遣する側と受ける側双方が処罰の対象となります。業務処理請負によって労務提供を受けている企業としては、偽装請負にあたらないか十分注意する必要があるでしょう。

「もしかしたら、うちの会社も・・・」と心配な場合は、念のため労務に強い弁護士に相談しておくことをお勧めします。

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