・会社の業績が悪いので、退職金をカットしたい

・退職金を積み立てていないので、退職金をカットしたい

そうしたご相談が当事務所に寄せられています。

退職金は、通常、就業規則や就業規則を受けた退職金規程に定められていますので、退職金をカットするということは、個々の従業員に退職金を放棄してもらわない限り、就業規則の変更によることになります。

就業規則の不利益変更は危険!

就業規則を変更するには、従業員代表の意見を聞く必要があります。

ただ、退職金は、賃金の後払いであり、退職する従業員にとって重要な権利であり、退職金カットとなると、従業員にとって非常に不利益な変更となりますので、就業規則変更に従業員が反対する可能性があります。

そこで、従業員に十分説明せず、社長の息のかかった従業員を従業員代表として意見を聞いたことにして、就業規則を変更してしまい、他の従業員に周知しないケースが散見されます。

しかし、そうした就業規則の不利益変更は、後日、変更を知った従業員が退職する際、退職金請求という形で大いに争われることとなります。

 

ここで、就業規則の不利益変更は、労働契約法によると、①変更の合理性と②従業員への周知により拘束力を持つとされます。

ところが、従業員への不利益が大きかったり、従業員代表を適当に選んだりする、①変更の合理性が認められず②従業員の周知もないので、就業規則変更の効力が認められないことが多いのです。

そうなると、せっかく就業規則を変更して退職金をカットしたつもりでも、結局数百万~数千万円といった高額の退職金を支払う羽目になり、会社によっては、それだけで事業の存続が危ぶまれることすらあります。

退職金カットが認められる場合

では、退職金を合法的にカットするには、どうしたらいいでしょうか。

それは、上記のとおり、①、②を満たすように就業規則を変更することです。

具体的には、業績不振で退職金をカットしなければならない事情があり、退職金カットの額を小幅にとどめ、従業員の意思により選んだ従業員代表の意見を聞き、従業員に周知する、といった形であれば、就業規則を合法的に変更できるでしょう。

こうした対応について、御社自身では困難な場合は、労務に強い弁護士に相談しましょう。

就業規則変更を機に労働トラブル予防を

退職金をカットする就業規則変更は、起業当初に退職金を漫然と就業規則に定めた場合に生じることが多く、そのような企業は、就業規則全体や普段の業務遂行に労働トラブルの火種があることが多いといえます。

ですので、退職金をカットする就業規則変更を機に、労務に強い弁護士を入れ、就業規則や業務遂行全体について労働トラブル予防策を講じることをお勧めします。

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