定額の残業代を支払っているから大丈夫?固定残業代の危険性

定額の残業代を支払っているから大丈夫?

職務手当、OJT手当、深夜手当、追加割増手当・・・

名目はともかく、従業員に残業代として定額の金銭(いわゆる固定残業代)を支払い安心している企業は多いようです。

ところが、固定残業代については、近時マスコミでたびたびクローズアップされています。

それはなぜでしょうか?

固定残業代はこんなに危険!

企業は、おおよそこの程度残業するであろうと考え、固定の残業代を含む賃金を設定しており、それで足りると考えています。いざ従業員から未払残業代の請求訴訟を提起されると、たいていの場合敗訴し、高額の未払残業代を支払う羽目になるのです。

例えば、月収30万円。但し、月40時間を超える時間外労働には、別途手当あり、という場合。

月収30万円には月40時間分の残業代が含まれているであろうことがわかります。そして、別途手当は超過の残業代であろうこともわかります。

では、月60時間時間外労働した場合、別途手当はいくらになるでしょうか?

残業代は、基本給を月平均労働時間で割ったもの(を割り増ししたもの)に残業時間をかけて算出します。しかし、月40時間分の残業代がいくらなのか不明なので、基本給もはっきりせず、残業代を算出できません。

こうした場合、裁判では、基本給を30万円と見るしかなく、これをもとに残業時間に応じた残業代を算出することになります。のみならず、裁判の場合、ここに未払残業代と同額の付加金が加算されます。結果、企業側にとって想定外の高額な請求が認められてしまうのです。しかも、そうした不明確な労働条件下にあるのは他の従業員も同じですから、他の従業員からも未払残業代を請求されるおそれがあります。

そうなると、企業は、総額数百万円~数千万円もの高額な未払残業代等を支払う羽目になり、事業の存続が危ぶまれる事態にすらなりえます。

固定残業代が認められるようにするには?

そのような事態にならないようにするため、御社としては、早急に、固定残業代が認められるよう、就業規則を変更して、

  1. 基本給(〇〇円)
  2. ○○手当(時間外労働の有無にかかわらず、〇時間分の時間外手当として〇〇円を支給)
  3.  〇時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給

 

などと明示するようにしましょう。

こうした対応について、御社自身では困難な場合は、労務に強い弁護士に相談しましょう。

固定残業代の見直しを機に労働トラブル予防を

ただ、固定残業代の問題は、労務問題の氷山の一角にすぎません。

ですので、固定残業代の見直しを機に、労務に強い弁護士を入れ、労務トラブルの予防に万全を期すことをお勧めします。

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
開所以来、姫路エリアに密着。使用者側労働問題に注力。経営法曹会議会員。

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