「管理職には、残業代を支払わなくてもよい。」という話を聞いたことがあるかもしれません。

これは一見、企業にとってありがたい話に思えますよね。

しかし、人件費削減のため、安易に労働者を管理職にするのは危険です!

なぜなら、労働者がいわゆる「名ばかり管理職」にあたる場合、未払残業代請求をまとめて請求されるおそれがあるからです。

労基法上の管理監督者

「管理職には残業代を支払わなくてもよい。」という事実は正しいのでしょうか。

労基法上、管理監督者については、労働時間や休憩、休日に関する規定は適用しないとされています(41条2号)。

これは、労働時間規制を超えて活動することが求められる重要な職務と責任をもつ者について、その地位の特殊性ゆえに労働時間、休憩、休日規制を適用しないものとする趣旨です。

したがって、例えば管理監督者の地位にある労働者が規定の労働時間を超えて働いたとしても、割増賃金を支給する必要はありません。

管理職≠管理監督者

では、企業が管理職の肩書を与えた労働者は、全て管理監督者となるのでしょうか。

行政解釈及び裁判例によれば、管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいうとされています(大阪地判平成15年10月29日など)。

そして、その判断においては、次の3点が考慮されます。

・職務内容、権限(例えば、経営上の重要事項に関する権限を持っているなど)

・勤務態様(例えば、出社・退社時間の拘束がないなど)

・賃金処遇(例えば、時間外労働賃金に相当する管理職手当を支給されているなど)

例えば、銀行の支店長代理の肩書を付された労働者が管理監督者に当たるか否かが問題となった事件について、裁判所は、右労働者が通常の就業時間に拘束されて出退勤の自由がなく、部下の人事や考課に関与せず、銀行の機密事項にも関与せず、経営者と一体となって銀行経営を左右する仕事に携わることもない点を考慮して、管理監督者に該当しないと判断しています(静岡地判昭和53年3月28日)。

このように、裁判例は労働者の肩書にとらわれず実態に即して判断をしています。

したがって、企業が管理職の肩書を与えた労働者であっても、実態を伴っていない場合は、労基法上の管理監督者にはあたらないとされるのです。

このような管理職は、一般的に「名ばかり管理職」と呼ばれています。

労務に強い弁護士に相談を

労働者が「名ばかり管理職」にあたるとされた場合、本来なら残業代等を支払う必要があったということになりますので、労働者から未払残業代等をまとめて請求され、企業にとって大きな損害につながる可能性があります。

トラブルが起きる前に、労務に強い弁護士に相談しておくことをおすすめします。

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