無断で長時間労働を行う問題社員の退職をめぐり泥沼化、労働審判でうつ病による高額な賠償請求を阻止して円満退職させた解決事例

ご相談

金属加工を業とするX株式会社は、幹部クラスの従業員Y(40代、男性、妻子あり)が月100時間超の時間外、休日労働を行うようになったため、社長が見かねて残業を控えるよう指示しました。
しかし、Yは、社長の指示を聞かず、かえって、社長に対し、会社の人事について独自の要求を行うとともに、自身の要求が通らない場合の転職をほのめかすようになりました。
そしてついに、ある日、Yの横柄な態度にしびれを切らした社長がYに退職を求めたところ、二つ返事でYが退職意思を示したので、X社はその日をもってYを退職扱いとしました。
ところが、その後、Yは、労働者側の法律事務所に駆け込み、X社に対し、長時間労働によりうつ病になったなどとして慰謝料を求めるとともに、退職の無効を主張し、もし退職を望むのであれば1年分の年収相当額の解決金を支払うよう求めて、労働審判を申し立てました。
そこで、社長は、ご自身では手におえないと思い、顧問社労士さんに相談したところ、当事務所をご紹介いただき、ご依頼に至りました。
その後も、Yは、うつ病で稼働できなくなったなどとして労基署に対し労災の休業補償申請を行うとともに、労働審判でも就労できなくなったなどとして後遺障害を主張を始め、本件は泥沼化の様相を示し始めました。

 

当事務所の対応

当事務所の試算では、可能性は低いものの、もしYがうつ病の診断を受け続け、後遺障害が認められた場合は、労災保険により賄われる部分を除いても、X社に数千万円の賠償責任が認めれるおそれがありました。
そこで、当事務所は、Yの退職意思は一貫しており退職は有効であること、Yがうつ病などでなく、かりにうつ病であるとしても長時間労働が原因でないことを主張立証するため、Y側の分厚い書面に負けない質、量の書面を提出して、Y側を強くけん制しつつ、和解の余地を探りました。

 

当事務所の対応の結果

そうしたところ、労働審判の期日において、Yの求める金額を百万円台まで大幅カットしつつ、Yの退職を確認する内容の調停を成立させることができました。

 

解決のポイント

労働審判は、裁判所において、わずか3回までの期日で、調停ないし審判により紛争を解決する手続です。
企業側が、紛争の長期化による風評被害等を恐れるあまり、安易に調停による早期解決を求めると、足元を見られ、高額の支払いを求められる羽目になります。つまり、紛争の早期解決と企業責任の最小化は、両立しにくいのが現状です。
この点、当事務所は、労働審判においても、安易に調停による早期解決を求めず訴訟段階と同じレベルの質、量の反論を行うことにより、企業側に不利な情勢をしっかり押し返したうえで、調停による解決を目指しますので、企業のコスト最小化と紛争の早期解決を両立させることが期待できます。
本件においても、事案の筋をしっかり見極め、十分な質、量の反論を行うことで、X社のコストを最小化しつつ、紛争の早期解決を図ることができました。

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