企業を経営していると,従業員から未払残業代を請求されることがあり,言葉は悪いですが,「飼い犬に手をかまれた」ような苦々しい気持ちになることがあるようです。
しかし,だからといって,従業員の請求を握りつぶすなどすると,手痛いしっぺ返しを食らうことになります。
未払残業代請求を放置すると大変なことに!
では,従業員からの未払残業代請求を放置すると,どのような事態になるでしょうか?
残業代の不払いは,単なる債務不履行にとどまらず,労働基準法に違反する違法な行為です。ですので,
①従業員が,労働基準監督署に通報し,労働基準監督署が企業を行政指導したり,臨検(調査)のうえ書類送検し,企業は刑事処分を受ける
②従業員が,社内の労働組合や社外のユニオン・合同労組にかけこみ,労働組合が団体交渉を行う
③従業員が,労働者側の弁護士に相談し,弁護士が企業に任意の支払いを求めるよう交渉し,功を奏しない場合,労働審判を申し立てたり,訴訟を提起したりする
といった事態が考えられますが,いずれもややこしいことになることがおわかりでしょう。
正しい対応
そこで,未払残業代を請求されたら,請求が正当かどうか精査し,正当な場合は,未払残業代を支払った方がよいことになります。
こうした対応について,御社自身では困難な場合は,労務に強い弁護士に相談しましょう。
未払残業代請求への対応を機に労働トラブル予防を
とはいえ,未払残業代請求は,労務問題の氷山の一角にすぎません。
ですので,未払残業代請求への対応を機に,労務に強い弁護士を入れ,労務トラブルの全般的な予防策を講じることをお勧めします。